整形外科の「骨折」の治療
患者さんは、何かしらの不調を持って病院を受診されます。
私の専門の整形外科ですと「痛み」が主訴の場合が多いです。
そして、整形外科は「外科」の一種なので、やはり手術をすることも大事な仕事です。
整形外科の痛みの原因として代表的なものと言えば「骨折」です。
(一番多いわけではありませんが)
骨折の治療と言えば「ギプス」か「手術」が代表的な治療方法です。
では、どちらの治療をするのか?・・・
「検討会で相談して決まった」と言うけれど…
「カンファレンス(検討会)で、整形外科全員で相談して決めます」と患者さんに伝えている医師も多くいます。
ですので「多くの医者が議論して最良の方法を選んだ」と思われる人が多いかと思いますが、実際にはそうなっていない場合が多いです。
どういうことかと言いますと「カンファレンスを開いてはいるけれど、結局は一番偉い医師の考えが押し通される場合が多い」という事です。
グローバルスタンダード(世界標準)医療の提供が重要であると言われていますが、標準とされている治療法を知らずに長年の自分の経験に基づいて治療にあたる中堅~年配の医師はそれなりにいます。
大病院ですと、トップは最新の知識を持ち合わせていそうですが、その最新の知識は自分の狭い専門分野のみの場合も多く、専門から少し外れた事はやはり古い経験のみだったりします。
その時に、その分野に詳しい部下がいて、その医師に任せることができれば良いのですが、これもなかなか実現されないのが現状です・・・
前回、医師の大学医局制度とは・・の記事で「人材派遣を大学医局が実施している」と書きました。
このように一般病院の医師も大学医局から派遣されていたりしますので、大学の偉い医師(教授など)の意向をさらに組み込んだトップダウンになる場合もあります。
トップダウンの治療法が適切とは限らない
そのトップダウンが最良な治療方法であれば全く問題ありませんが、「トップダウンは正しくない場合が多い」のは、会社・組織全般と同様です。
今までのいくつかの病院に勤務しましたが「手術の必要性の低い骨折に対して、手術をした」場面に何回も遭遇しました。
カンファレンスでは「この患者さんの骨折は、ギプス治療で良いのではないのですか」と私が意見を言っても、トップ医師から「いや、ズレたら心配だから手術をしておこう」と、全くグローバルスタンダード(世界標準)ではありません!(言うなれば、トップ医師の勘?) 骨折も様々であるので、治療を標準化するのが難しい部分は確かにありますが、権限を持つ医師はもっと「科学的」且つ「個々の患者ニーズを考慮」すべきと感じる日々です・・・